さくらえみ選手インタビュー(「水道橋博士のメルマ旬報」2015年4月10日&25日掲載)再掲

さくらえみ選手が古巣のアイスリボンの5月4日、横浜文体に上がるということなのですが、その一連のくだりが完全に面白いので、「水道橋博士のメルマ旬報」で一年前にインタビューさせていただいた記事をここにアップします。有料メルマガの記事なのでいずれ下げるかもしれないですが、5月4日に行く方はご参考に。

 

以下、記事内容の再掲です。

 

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日々野瞳・試練の十番勝負が幕を開けた。いま現在、プロレスという名のつく現場で何が行われているのかを確かめ、それを伝えることになった日々野瞳。第三戦となる今回の相手は現役のプロレスラー、さくらえみ選手だ。現在38歳。2009年には名誉ある東京スポーツ主催の「女子プロレス大賞」を受賞した経験もある彼女は現在、プロレス団体、我闘雲舞(カトームーブ)を率いている。

 

我闘雲舞という団体を一言で説明するのは難しい。日本を中心に活動する女子プロレス団体でありながら、旗揚げの地はなぜか異国のタイだ。所属する主力選手たちで結成したアイドルグループとしての活動も行う一方で、ほぼ毎週末には市ヶ谷のマット(リングではなく)でプロレス興行を開催している。いま現在のプロレスの中で、というかいま現在のエンタテインメントの中で似ているものがないからこそ、我闘雲舞を一言で説明するのは難しい。

 

ただ、一つだけ確かに言えることがある。我闘雲舞というプロレス団体は、抜群に面白い。これだけは、間違いない。

 

記憶に新しいところで言えば、たとえば昨年、2014年の4月6日に我闘雲舞が行った興行は、ここ数年のプロレス興行の中でも珠玉であった。旗揚げの地であるタイから5人のプロレスラーがやって来て、日本のプロレスラーたちと戦う。大河ドラマのような、あるいは映画のような光景がそこには実際にあり、それはエンタテインメントの一つの到達点だと言ってもいい。感想を述べれば長くなるので、もし興味のある方は以下のリンク先を参考にしていただければと思う。

http://d.hatena.ne.jp/osamu-teduka/20140411#1397212051

 

我闘雲舞は、確実に、見れば面白い。特に来る5月2日(土)に板橋グリーンホールで開催される『ゴールデンムーブ2015』(17:30開場、18:00試合開始)は、年に一度の恒例である男女混合タッグ6チームが参加するワンデイ・ミックスドタッグトーナメント。去年、一昨年と会場で観戦しているが、この大会は老若男女誰に対しても自信を持ってお薦めできる。ここにはプロレスの魅力の全てがある。プロレスを知らない人が観ても間違いなく笑顔になり、そしてきっとプロレスのことを好きになる、そんな大会なのだ。

(※大会情報は以下のリンク先まで)

http://ameblo.jp/gtmvsakura/entry-12007747743.html

 

だが我闘雲舞というプロレス団体は、今のところ残念ながらまだまだ知名度のある団体ではない。それなのに、どうかと思うほどに面白い。だから今回のさくらえみ選手へのインタビューで、まずは我闘雲舞というプロレス団体のことを知ってほしい。プロレスが好きな方も、プロレスをこれから好きになる方も。そしてどうか、少しでも興味がわいたら、5月2日(土)の板橋グリーンホール大会へ足を運んでいただきたい次第である。

 

それではそろそろ、さくらえみ選手へのインタビューを始めよう。

 

——まずは我闘雲舞の旗揚げについてお聞きしたいんですけど。我闘雲舞は2012年9月にタイで旗揚げするわけですが、そのときのコンセプトはどういうものだったんですか?

「一番最初は、日本でやることはやったから、海外でプロレスをやりたい女の子たちを集めてプロレスをやろうと思ったのが最初のコンセプトです。それで、日本じゃない国で女子プロレス団体を立ち上げようと思ってやったところが、タイだってっていう。でも気付いたら男子レスラーばっかり増えちゃってどうなるのかなって思ってたら、日本でも女の子が入ってきて、って今はそういう感じですね」

 

——そもそもどうしてタイという国を選んだんですか?

女子プロレスをやっていくうえで、日本にはプロレスラーになりたい子がすごく少ないって感じがあったのと。あとは金銭面で夢がないって思ってたんですよね。でも逆の発想で、いまのギャランティしか稼げなかったとしても夢がある、っていうことを考えたときに、タイっていう国に目をつけて。物価が日本よりも安いから、プロレスラーになったらお金持ちになれるっていう。あとは日本からある程度近いところで日本と仲が悪くない国、ある程度安全で、っていうところで」

 

——今もタイには選手はいるんですよね? 向こうの選手たちはどういう活動をしているんですか?

「今は向こうには、女子が2人。男子はたぶん、8人か、9人? 気付いたら増えてて。向こうは向こうで活動してるから詳しくは分からないんですけど。タイにはプミくんっていう男の子が住んでいて、その子はすっごくプロレスに詳しくて。日本にいる私よりも先に日本のプロレスの大会の結果を知ってたりして、情報もすごく早くて。彼は今までわたしが会った人の中で一番優秀ですね。練習は空手道場を借りてほぼ毎日していて、大会は月に一回ぐらいやってると思います」

 

——練習はどうやって教えてるんですか?

「リングがないのでマットでやってて。一番最初に練習を教えたのが私なんですけど、言葉が通じないので、やってみて、真似してもらって、こうじゃないああじゃないって。でも言葉が分からないから『トゥートゥトゥトゥ』とか『トゥトゥトゥッ』とか、モールス信号みたいな感じで教えてます。そもそもタイにはマット運動みたいなのが学校の授業にないんですよ。生まれて初めてマット運動をして、地球が回ったー、とか語ってたりして。練習場所はタイに一カ所しかないので、みんな仕事が終わって時間をかけて来たり、休日に3時間ぐらいかけて来てくれたりとか」

 

そもそもタイにはプロレスという文化がほとんど根付いていない。ほぼ毎日のようにどこかでプロレスの興行が行われている国は、世界でも日本ぐらいだ。そんなタイと日本の違いに、戸惑うことはなかったのだろうか?

 

——実際にタイで立ち上げてみて、事前のイメージとの違いはありました?

「まず、簡単には女の子が集まらなかったっていうのもありますし。イメージと違ったと言えば、タイでは日本式が一切通用しないので。“頑張る女の子”を作るのは難しいのかなっていうのはちょっと思いましたね。タイって男の人が結構働かなかったり、頼りなかったりして、逆に女性が朝も昼も働いてて。夢を持ってるっていうよりも、現実を追ってる女の子たちがすごく多いから」

 

——タイにいる選手たちは、将来的にはプロレスラーとして成功するって夢を持って活動してるんですか?

「んー。たぶん、プロレスラーがプロレスだけで食べていくっていう発想が、最初からないんですよ。自分たちは学生だったり、仕事をしてたりとか、そっちの夢も追いつつプロレスもやってる感じですね。興行にお金を払うっていう感覚があまりなくって。スポンサーが大会についてみんなが無料で観るみたいな。外タレさんにお金を払うっていう発想はあるんですけど、タイ人の催し物にお金を払うっていう感覚が、まだあまりなくて」

 

さくらえみの言葉を借りれば、我闘雲舞の目指すところは「いつもそこにある、女子プロレス」だ。プロレスを特別なものでなく日常にあるものにしたい、とさくらえみは常々語っている。たとえば女の子が人生で3年間、部活のように、でも一生懸命取り組めるもの。あるいは、やろうと思ったらやれて、観ようと思ったら観ることが出来て、会いたいと思ったら会えるプロレス。それが我闘雲舞の目指すところだ。

 

学校や仕事のかたわらプロレスをやるというタイの選手たちは、そういった意味では我闘雲舞が目指すところからそう遠いものではないように思う。だがそれでもさくらえみは、我闘雲舞を大きくしたいとも語る。実際に今年8月13日(木)には、我闘雲舞史上最大のビッグマッチとなる後楽園ホール大会も開催される予定だ。我闘雲舞を大きくするという、さくらえみのその思いのきっかけとなったのは、一人の選手の言葉だった。

 

——当面の我闘雲舞の目標ってありますか?

「基本的にはやっぱり、大きくしないと駄目だなっていう感じで。本当は、大きくすると大変なので、学校終わっても何かしなきゃいけないとか。今は気楽に金土日しか活動してないですけど、そうなったときに里歩さんとか「ことり」さんとかは、やりたくないだろうなっていうのがあったんですよ。(※筆者注:里歩、「ことり」はともに我闘雲舞所属選手。里歩は現在17歳、「ことり」は現在16歳)やっぱり、プロレスで食べていくって本当に大変なことなので。そこまではしなくって、学校も楽しい、勉強もやります、っていう感じが一番良いのかなって思ってたんですけど。でも、あるとき里歩さんが、やるんだったら大きくしなきゃいけないですよね、みたいな提案をしてきて。ああ、だったら、そっちの道なんて全然あるんだからやろうよって、今はそういう感じです」

 

——なかなか難しい道のりですよね。

「自信はあるんです。でも認めてもらえないと駄目かな、とは思います。いや、たぶん里歩さんや「ことり」さんが他団体にがんがん出てったほうが早いと思うんですよ。プロレスを好きな人がプロレスを観てるわけだから。でもそれをやってしまうと、団体が分かれてる理由が分からなくなるので。団体が分かれてる理由をちゃんと作っておきたい。今は交流の時代なのでなかなか難しいんですけど、ちゃんと分かれていないと意味がないと思ってるので、あんまり他団体には出てないんです。そういう道もあるって分かってるけど、こっちの道を選んでるんだから、こっちの道で結果を出さないと、って。ただ、私が38歳から40歳、45歳になってもあまり変わらないと思うんですけど、里歩さんが17、18、19、20になることによって、色んなことが変わると思うので。早くしないと、っていうのはいつもすごくありますね」

 

以上、さくらえみインタビュー、前編をお届けした。旗揚げからこれまでの活動、これからの展望など、我闘雲舞のオリジナルさが少しでも伝わってくれることを願う。そしてなるべくなら、会場へ足を運んでほしい。我闘雲舞にしかないプロレスの面白さが、そこには間違いなくあることを保証します。

 

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日々野瞳・試練の十番勝負が幕を開けた。いま現在、プロレスという名のつく現場で何が行われているのかを確かめ、それを伝えることになった日々野瞳。第三戦となる今回の相手は、前回に引き続き現役プロレスラー、さくらえみ選手だ。現在38歳。2009年には名誉ある東京スポーツ主催の「女子プロレス大賞」を受賞した経験もある彼女は現在、プロレス団体、我闘雲舞(カトームーブ)を率いている。

 

前回のインタビューで「我闘雲舞を大きくしたい」と語ったさくらえみ選手。来る5月2日(土)に板橋グリーンホールで開催される『ゴールデンムーブ2015』(17:30開場、18:00試合開始)は、年に一度の恒例である男女混合タッグ6チームが参加するワンデイ・ミックスドタッグトーナメントだ。プロレスの根源的な魅力が存分に詰まった素敵な大会になることは間違いないので、プロレスファンもそうでない方も、是非足を運んでいただきたい。

(※大会情報は以下のリンク先まで)

http://ameblo.jp/gtmvsakura/entry-12007747743.html

 

そして今年の夏は、我闘雲舞史上最大のビッグマッチも予定されている。8月13日(木)、後楽園ホール大会。普段は100人未満の市ヶ谷チョコレート広場を主戦場としている我闘雲舞にとっては、大きなチャレンジだと言えるだろう。このビッグマッチに向けて、さくらえみは一体、いま何を考えているのか?

 

——いよいよ今年8月には後楽園ホール大会も予定されているわけですが。

「いやもう、全然無謀だと思うんですけど! たぶんお客さん、300人ぐらいしか入らないんじゃないかな……」

 

——さすがにそんなことはないと思いますけど。でも、後楽園ホールでやる意味はある?

「たとえば他団体さんをたまに観に行ったときに、やってることは絶対一緒のはずなのに、スポットライトを浴びて沢山のお客さんに見てもらって、リングサイドをカメラマンさんが囲っていると、素晴らしいものに見えるんですよ。やってることは一緒のはずなのに、里歩さんや「ことり」さん(※注:ともに我闘雲舞の所属選手)はやっぱり一部の人にしか理解してもらえてなくって、広がっていかない。そうこうしているうちに、もしかしたらピークが今かもしれないじゃないですか。それを、無理をしないことによって、楽しいけれどどこにも行けないっていうのはどうなのかなって思って。もっともっとみんなの可能性を引き出したいなって思いながら、今はやってます。ゲスト選手は主戦場がほかにあるので、後楽園に毎月出てる選手もいるし、もっと大きなところでやってたりもするじゃないですか。なので、我闘雲舞のメンバーが自分たちの夢を叶えることが我闘雲舞なんだと思って」

 

——後楽園に向けての秘策はあるんですか?

「ないんです。秘策がない。何でかって言うと、ビッグマッチをやると、特別感って必要じゃないですか。でも特別感を出そうとすると、色んな人と混じらなきゃいけなくて、それをやった瞬間、後楽園だけ違うものになってしまう。あとは皆さん主戦場がある中で、条件も良くないけど普段から我闘雲舞に参戦してくれている方たちに上がっていただきたいと思うと、入り切らないんですよ、選手が。それをはめてくだけで、もう一杯になってしまうので。だから後楽園はたぶん、えっ、これで後楽園やるんだ、強気だねえみたいな、そんなカードになると思います」

 

プロレスの聖地とも呼ばれる後楽園ホールは、2000人規模の大会場だ。プロレスブームが叫ばれる今でも、この規模の会場を埋められる団体はそう多くはない。だが新日本プロレスDDTプロレスリングなど、定期的に後楽園ホールを超満員に出来る団体が存在しているというのもまた事実ではある。何度も言うが、我闘雲舞は抜群に面白い。その面白さを観客の動員に繋げるためには、一体何が必要なのだろうか?

 

——我闘雲舞の観客動員数を増やすために、何が必要だと思いますか?

「もちろん、色んな努力が。選手の試合に対する努力だったり、運営だったり広報だったりとかの努力が少しずつ足りないっていうのはあるんですけど。そういうのもまとめて、面白くないからだ、って自分なんかは思っていて。あそこは面白いのにお客さんが入ってなくて可哀想、みたいなことを言うのとかあるじゃないですか? でも絶対そんなことはなくて。面白さと動員数っていうのは絶対比例してるはずなので、それをもっと磨いていかないと、って感じですよね。楽しいだけでは人は来てくれないので、事件性だったりとか、ハラハラ感だったりとか、何が起きるんだ、っていうのがきっと足りないんだろうなって。もちろん皆様に来ていただいているので、私たちが提供しているものは今日現在の段階で一番面白いものを出してるって気持ちではやってるんですけど、楽しいだけでは人は来ない」

 

——それはすごく難しい部分ですよね。

「なんか、自分の中では殺伐としたものを出してるつもりなんですけど、なぜかそうならないんですよね……。でも一度、いつもと全く同じカードなんですけど、世代抗争って言ってみたりとか、軍団対抗戦みたいなことを言ってみたりすると、すごいお客さん入ってくれたりするんですよ。だからそういうのも大事なのかなって思って。よく誤解されがちなのが、さくらの世界を理解してくれる人たちと、さくらが楽しい世界を大事にしながら、小さな世界でやっていきたいんだな、って思われることがすごく多いんですけど。すごい沢山の人に見てもらいたいって思ってるんで。それがちょっと、うまくいってないところなのかなあって」

 

そういった状況の中で、我闘雲舞のメンバーはいま新たな試みを繰り広げている。それがアイドルグループ、ガトームーブ(アイドル活動のときはカタカナ表記)としての活動だ。プロレスのリングを飛び出し、いわゆるアイドルライブにもアイドルとして参戦。このアイドル活動が目指すところとは何なのだろうか。

 

——最近はアイドルとしての活動もされてますけど、それは外に広げるためなんですか?

「きっかけは、里歩さんなんですよ。里歩さんって、歌がすごく嫌いで。人前で歌ってるのを見られたくないってずっと言ってて。でもそんな子が、外に出るための一つの手段として歌を歌う、って言い出して、それはすごいことだと思っていて。里歩っていう選手を表に出したいって思ったのがまず最初のきっかけなんです。もしこれがたとえば、帯ちゃん(※注:帯広さやか。我闘雲舞所属選手)が店を出したい、私はおびレストランを作るって言ったらそっちも全力で支持するし。我闘雲舞の選手が何かをやろうって思ったときに、その方向性が、里歩さんだったらアイドルだったので。誰かがやりたいって思ったことを手助けして、そこからお仕事に繋げなきゃって感じですかね」

 

——ちなみにガトームーブの楽曲は、さくらさん自身が作っていますよね。どうやって作ってるんですか?

「鼻歌で頑張って作ってます……。歌として成立してない、とかすごい言われるんですけど。AメロとかBメロとかサビとかも意味が分からなかったし、ルールが全く分からないで作ってるので、こんなの歌じゃないって何回も言われながら作りました」

 

——そもそも歌が好きなんですか?

「そういうわけでも……。歌とか音楽は一切聴かないので、分からないんです。でも、プロレスって音楽が必要じゃないですか。それがいつの間にか常識みたいになってて。何でそれを、メッセージ性のあるものを探してきてあてはめなきゃいけないんだっていうのがあって。それっぽいのを自分で入れちゃえば、ショーになるし。あと、たとえば所属選手が5人しかいなくて、いま3試合しか組めないから歌があるんですよ。(※筆者注:我闘雲舞の市ヶ谷大会は、プロレスの試合が3試合と歌で構成されているのが基本)これで5試合あって、市ヶ谷で2時間やったら、疲れちゃうから。楽しいものも楽しくなくなるはずなので。選手がレフェリーやってるのも、自分の好きな選手が10分でいなくなっちゃうよりは、ずっと見られたほうが楽しいし。これがやりたくてやってるというよりは、ない中で考えたって感じですね。でもいまその形が変わらないのは、ちょっと惰性でもあるかなと思うので、市ヶ谷は大事にしつつ、板橋とか後楽園では違うものを見せたいなって思ってます」

 

5月の板橋大会、8月の後楽園大会と、挑戦を続ける我闘雲舞。これからの我闘雲舞は、一体どんな景色を見せてくれるのだろうか?

 

——これからの我闘雲舞の展望ってあったりしますか?

「色々考えも変わって、昔は新しい子が入ってどんどん循環すれば良いなって思ってたんですけど。それをAKBに例えるなら、今はSMAPみたいに、このメンバーで変わっていくしかないのかなって気持ちはしてます。何でかって言うと、新しい子が入らないから、動かないので。だから考え方を変えなきゃいけないのかなあって。もしかしたら今の5人で、ドラマをやるかもしれないし。5人でマラソンとかに挑戦するかもしれないし。この5人が変わっていく景色を見せていくことで頑張らなきゃいけないのかな、って気はしてます」

 

——いよいよ5月2日は、板橋大会です。ここで見られるものって何ですか?

「……男を利用した女の物語?(笑) うーん……。でも我闘雲舞で見せたいのは結局、里歩、「ことり」、帯広、北沢ふきん(※注:すべて我闘雲舞の所属選手)とか、あとはブリバト(LLPW-Xの所属選手、SAKIとMIZUKIによるアイドルレスラーユニット。我闘雲舞には継続参戦している)とか、女の子が普通に、何だろう、私は今日良い試合が出来なかった、でもあっちは輝いてるとか、そういうちっちゃい嫉妬とか。いちいち口に出さないことでも、ああこう思ってるのかな、っていう日常がすごく楽しくて。それが一言で説明できたらすごく良いと思うんですけど。……「サザエさん」みたいな感じですよね。毎週同じように見えるんですけど、ちょっとずつ違ってるみたいな。あとは自分がずっと言ってるのは、ご飯みたいなプロレスって言ってて。特別なディナーとかではないんですけど、それ食べないとっていう。今日見ても、帰ったらまた見たくなるっていう、そういうのを目指してます」

 

以上、さくらえみインタビュー、後編をお届けした。とにもかくにも、5月2日(土)は板橋大会だ。さくらえみが語る「ご飯みたいなプロレス」とは一体どのようなものなのか、是非会場でご覧になっていただきたい。そこにはきっと、プロレス会場にしかない、素敵な何かがある。

 

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という感じでした。さくらえみ選手の言葉は単純に面白すぎるのですが、ご本人の中で整理されているわけではないので、相当時間をかけて編集しないと一切本意が伝わらないので苦労したということはここで書いておきます。まあ、でも、やっぱり面白いんですよ。5月4日のアイスリボン横浜文体は、久しぶりにプロレスでわくわくしています。

 

水道橋博士のメルマ旬報」ではまだ連載は続いてますので、お財布とお時間に余裕のある方は是非。

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